「3つ並べれば真ん中を選ぶ」は本当か
「松竹梅の3択にすれば、真ん中が選ばれる」
「だから真ん中に一番売りたいものを置けばいい」
こう聞いたことがあるかもしれません。
しかし、実際にやってみると、一番安いプランばかり選ばれる。
真ん中が選ばれず、期待した効果が出ない。
なぜでしょうか。
問題は「松竹梅を使うこと」ではなく「条件の理解不足」にある
結論から言います。
松竹梅が機能するには、条件があります。
「3つの違いが明確で、比較できる」場面で機能します。
違いが不明確だったり、顧客が価格重視だったりすると、機能しません。
松竹梅が効く心理メカニズム
極端回避性
人は、極端な選択を避ける傾向があります。
「一番高いのは贅沢すぎる」「一番安いのは不安」
この心理から、中間を選びやすくなります。
これが「極端回避性」と呼ばれる現象です。
妥協効果
中間の選択肢は「妥協点」として認識されます。
「高すぎず、安すぎず、バランスがいい」
この認識が、中間を選ぶ正当化になります。
社会的な安心感
中間を選ぶことは「普通」「無難」と感じられます。
極端な選択より、説明がしやすい。
この社会的な安心感も、中間を選ぶ理由になります。
松竹梅が効かないケース
ケース1:違いがわからない
「プランAは〇〇機能付き」「プランBは△△機能付き」「プランCは両方付き」
機能の違いはわかっても、「自分にとって何が違うのか」がわからなければ、価格で選ばれます。
結果として、一番安いプランが選ばれます。
対策
機能ではなく「得られる結果」で違いを説明します。
「月5件の問い合わせ」「月20件の問い合わせ」「無制限のサポート付き」
顧客にとっての価値で差を示します。
ケース2:価格差が大きすぎる
「1万円 / 5万円 / 20万円」
価格差が大きすぎると、中間ではなく最安が選ばれます。
「5万円は1万円の5倍。そこまでの価値があるか?」
この疑問に答えられなければ、最安に流れます。
対策
価格差は2〜3倍程度に収めます。
「1万円 / 2万円 / 3万円」であれば、中間が選ばれやすくなります。
ケース3:顧客が価格重視
予算が限られている顧客は、最初から価格で判断しています。
この場合、松竹梅を見ても「最安でいい」となります。
極端回避性より、予算制約の方が強く働きます。
対策
価格重視の顧客には、松竹梅ではなく単一オファーが効果的です。
「このプランで始めてください」と一つに絞ります。
ケース4:選択に自信がある
専門知識がある顧客は、自分で最適なプランを選べます。
「中間が無難」という心理は働きません。
自分の判断で、最高か最安を選ぶことがあります。
対策
専門家向けには、詳細な比較表を提供します。
機能や仕様を細かく比較できるようにし、自分で選んでもらいます。
よくある誤解
❌ 「とにかく3つ作ればいい」
数を3つにすればいいわけではありません。
3つの違いが顧客にとって意味のあるものでなければ、効果はありません。
❌ 「真ん中を最も利益率の高い商品にする」
真ん中が選ばれるのは、「妥当な選択」と思われるからです。
明らかに割高なプランを真ん中に置くと、信頼を損ないます。
❌ 「松竹梅は万能」
松竹梅が効く条件を理解し、状況に応じて使い分ける必要があります。
設計視点で考える
⭕ 松竹梅が効く条件を整える
松竹梅を機能させるには、いくつかの条件を整える必要があります。
条件1:違いを明確にする
3つのプランの違いを、顧客にとっての価値で説明します。
❌「機能Aあり / 機能A+Bあり / 機能A+B+Cあり」
⭕「月5件の対応 / 月20件の対応 / 無制限対応」
顧客が「自分にはどれが必要か」を判断できる情報を提供します。
条件2:適切な価格差を設定する
中間が「お得」に感じられる価格差を設定します。
最安と中間の差が小さく、中間と最高の差が大きいと、中間が選ばれやすくなります。
例:「1万円 / 1.5万円 / 3万円」
中間が「最安よりちょっと足して、大幅に良くなる」と感じられます。
条件3:推奨を明示する
「おすすめ」「人気No.1」を中間に表示します。
迷っている顧客に、選択の根拠を与えます。
具体例で考える
個人コーチの場合
❌ 3ヶ月 / 6ヶ月 / 12ヶ月(期間の違いだけ)
⭕
- ライト:週1回のセッション、基本サポート
- スタンダード:週2回のセッション、チャット相談付き(おすすめ)
- プレミアム:無制限セッション、グループコンサル付き
価値の違いを明確にし、中間を推奨します。
中小企業の場合
❌ ベーシック / スタンダード / プレミアム(名前だけの違い)
⭕
- スモールビジネス:10ユーザーまで、月5GBまで
- ミッドサイズ:50ユーザーまで、月50GBまで、電話サポート付き(おすすめ)
- エンタープライズ:無制限ユーザー、専任担当付き
規模と得られるサービスの違いを明示します。
オンラインコースの場合
❌ 動画のみ / 動画+サポート / 動画+サポート+コンサル
⭕
- 自習コース:動画教材のみ、自分のペースで
- 伴走コース:動画+週1回のQ&A、仲間との交流(おすすめ)
- 個別コース:動画+個別指導、あなた専用のカリキュラム
学び方の違いで分け、それぞれのメリットを示します。
全体像を知ることが第一歩
この記事では、松竹梅が効く条件と効かないケースをお伝えしました。
しかし、松竹梅は選択設計の一手法にすぎません。
他にどんな選択肢設計があるのか。
どう組み合わせるべきか。
「売りたい商品を選ばせる」コースでは、この全体像を詳しく解説しています。
松竹梅を導入しても効果がない。
そんな状況を変えるための第一歩として、ぜひご活用ください。
