松竹梅を導入したけど効果がない
「3つのプランを用意したのに、一番安いプランばかり選ばれる」
「真ん中を選ばせたいのに、思い通りにならない」
「松竹梅の効果を感じられない」
そんな経験はありませんか。
「3つ並べれば真ん中を選ぶ」という法則は、常に正しいわけではありません。
松竹梅が機能する条件と、逆効果になるパターンを理解する必要があります。
松竹梅が機能しない理由
結論から言います。
松竹梅(極端回避性)が機能するには、いくつかの条件が必要です。
条件を満たしていなければ、3つ並べても効果はありません。
極端回避性とは何か
人は極端を避けたがる
人間には「極端な選択を避けたい」という心理傾向があります。
これを「極端回避性」または「妥協効果」と呼びます。
3つの選択肢があると、一番高いのは「贅沢すぎる」、一番安いのは「品質が心配」と感じ、真ん中を選びやすくなります。
しかし、これには条件がある
極端回避性は、いつでも発動するわけではありません。
以下の条件が揃っていないと、機能しません。
条件1: 選択肢の違いが明確
3つのプランの違いが顧客に理解されていなければ、比較検討が始まりません。
「何が違うのかわからない」場合、顧客は最も安全な選択(多くの場合、最安値)を選びます。
条件2: 真ん中が「ちょうどいい」と認識される
真ん中のプランが、顧客のニーズに「ちょうどいい」と感じられる必要があります。
真ん中が「まだ高すぎる」「オーバースペック」と感じられれば、選ばれません。
条件3: 購入の意思がある程度固まっている
そもそも「買うかどうか迷っている」段階では、極端回避性は発動しにくいです。
「3つのうちどれを買おうか」と考えている状態で、初めて機能します。
よくある誤解
❌ 「とにかく3つ並べればいい」
3つ並べるだけでは不十分です。
3つの違い、価格差、それぞれの価値が明確に設計されている必要があります。
「なんとなく3つ作った」では、効果は出ません。
❌ 「高いプランは選ばれないから適当でいい」
高いプランは「比較対象」として重要な役割を果たします。
高いプランがあることで、真ん中が「お手頃」に見えるのです。
高いプランが魅力的でないと、この比較効果が働きません。
❌ 「安いプランを用意すれば取りこぼしが減る」
安いプランは、真ん中や高いプランを買おうとしていた人を「ダウングレード」させるリスクがあります。
安いプランを用意することで、売上が下がることもあります。
設計視点で考える
⭕ 松竹梅を正しく設計する
松竹梅を機能させるには、各プランの役割を理解して設計する必要があります。
各プランの役割
竹(真ん中): 本命プラン
実際に選んでほしいプランです。
顧客の主要なニーズを満たし、適切な価格帯に設定します。
松(高い方): アンカーとアップセル
2つの役割があります。
1つ目は、竹を「お手頃」に見せるためのアンカー(基準点)。
2つ目は、予算に余裕がある顧客へのアップセル機会。
梅(安い方): 入口と比較対象
2つの役割があります。
1つ目は、予算が限られた顧客への入口。
2つ目は、竹の価値を際立たせる比較対象。
価格差の設計
価格差も重要です。
松と竹の差: 大きめに設定すると、竹が「お得」に見える
竹と梅の差: 小さめに設定すると、「少し足せば竹が買える」と思わせる
例えば、松:10万円、竹:5万円、梅:4万円という設計だと、竹と梅の差が小さいため「1万円足せば竹になる」と感じやすくなります。
おとり効果を活用する
「おとり効果」とは、選ばせたくない選択肢をあえて入れることで、本命の選択肢を魅力的に見せるテクニックです。
有名な例があります。
ある雑誌の購読プランです。
- Web版のみ: 59ドル
- 印刷版のみ: 125ドル
- Web版 + 印刷版: 125ドル
「印刷版のみ」は、誰も選びません。
しかし、この選択肢があることで、「Web版 + 印刷版」が非常にお得に見えます。
「同じ価格で両方手に入る」と感じさせるのです。
結果、「Web版 + 印刷版」の選択率が大幅に上がりました。
具体例で考える
オンラインコースの場合
❌ 効果のない松竹梅
- プレミアム: 30万円(内容が不明確)
- スタンダード: 10万円(本命)
- ベーシック: 8万円(ほぼ同じ内容)
→ スタンダードとベーシックの差が小さく、ベーシックに流れやすい
⭕ 効果的な松竹梅
- プレミアム: 30万円(個別指導付き、明確な追加価値)
- スタンダード: 10万円(本命、十分な内容)
- ベーシック: 5万円(動画のみ、サポートなし)
→ 各プランの違いが明確。ベーシックとスタンダードの差が大きく、「5万円追加でサポートがつくなら」とスタンダードを選びやすい
コンサルティングの場合
❌ 効果のない松竹梅
- 月額20万円(フル対応)
- 月額10万円(標準対応)
- 月額9万円(限定対応)
→ 標準と限定の差が小さすぎる
⭕ 効果的な松竹梅
- 月額20万円(経営会議参加、即日対応)
- 月額10万円(月2回面談、メール相談無制限)
- 月額5万円(月1回面談、メール相談月5回まで)
→ 各プランの価値と価格の差が明確
松竹梅が向かないケース
すべてのビジネスに松竹梅が適しているわけではありません。
シンプルなサービス: 選択肢を増やす意味がない場合は、1プランで十分
高額な一点物: 比較検討より「これしかない」という希少性の方が効果的
顧客が価格重視: 価格だけで判断する顧客には、極端回避性は働きにくい
松竹梅を戦略的に使う
この記事では、松竹梅が機能する条件と、正しい設計方法をお伝えしました。
「3つ並べれば真ん中を選ぶ」は、常に正しいわけではありません。
各プランの役割を理解し、価格差と内容差を戦略的に設計することで、初めて効果を発揮します。
コース「自信を持って価格を決める」では、松竹梅を含む価格設計の方法を詳しく解説しています。
選択肢の設計を見直したい方は、ぜひご覧ください。
