なぜ論理的に説明しても売れないのか
「スペックや機能を詳しく説明している」
「競合との違いを論理的に比較している」
「メリットを箇条書きで整理している」
なのに、反応がない。
論理的に書いているのに、なぜ選ばれないのでしょうか。
この疑問の答えは、人間の意思決定の仕組みにあります。
問題は「説明の質」ではなく「脳の構造」にある
結論から言います。
人は論理ではなく、直感で購買を決定しています。
論理的な説明は、直感で「欲しい」と思った後の「言い訳」に使われるだけです。
つまり、まず直感に訴えかけなければ、どんなに優れた論理も読まれないのです。
なぜ直感が論理に勝つのか
ここには、人間の脳の構造に関する科学的な事実があります。
2つの思考システム
心理学者ダニエル・カーネマンの研究によれば、人間の脳には2つの思考システムがあります。
「システム1」は、直感的で速く、自動的に働きます。
「システム2」は、論理的で遅く、意識的な努力を必要とします。
そして、私たちの意思決定の90%以上は「システム1」で行われているのです。
エネルギーを節約したい脳
人間の脳は、全身のエネルギーの約20%を消費します。
そのため、脳は常にエネルギーを節約しようとします。
論理的に考える「システム2」は、エネルギーを大量に消費します。
だから脳は、できる限り「システム1」で処理しようとするのです。
直感で決めて、論理で正当化する
車を購入する人は、スペックを比較検討しているように見えます。
しかし実際には、直感で「この車がいい」と決めた後に、その決定を正当化する理由を探しているのです。
「燃費がいいから」「安全性が高いから」という理由は、後付けです。
最初の「なんかいい」という直感が、購買の引き金になっています。
Webサイトでの行動
Webサイトでも同じことが起きています。
訪問者は、ページを開いた瞬間に直感で判断しています。
「なんか違う」と感じれば、離脱します。
「なんかいい」と感じれば、スクロールします。
この直感的な判断は、論理的な説明を読む前に起きているのです。
よくある誤解
❌ 「詳しく説明すれば理解される」
詳しい説明は、読まれる前に離脱を招きます。
情報量が多いと、脳は「処理コストが高い」と判断し、読むことを諦めます。
詳しく説明する前に、まず「読みたい」と思わせる必要があるのです。
❌ 「比較表を作れば選ばれる」
比較検討モードに入っている顧客は、すでに直感で候補を絞っています。
比較表は、「この中から選ぶ」段階では有効ですが、「そもそも候補に入る」ための武器にはなりません。
候補に入るかどうかは、直感で決まっているのです。
❌ 「BtoBは論理で決まる」
ビジネスの意思決定者も人間です。
「上司を説得するための資料」は論理的ですが、その前に「この会社にしよう」という直感があります。
論理は、直感を正当化するための材料として使われているのです。
設計視点で考える
⭕ 直感に訴えかける設計をする
売れるサイトは、まず直感に働きかけ、その後で論理的な根拠を提示しています。
直感を動かす3つの要素
1. ビジュアルの第一印象
サイトを開いた瞬間の印象は、0.05秒で形成されます。
この印象が「信頼できそう」「自分に関係ありそう」であれば、読み進められます。
2. 感情に響く言葉
「業務効率化ソリューション」より「毎日2時間、早く帰れるようになる」。
機能を説明するのではなく、得られる感情を描写することが重要です。
3. 共感から始まる導入
「あなたも、こんな経験がありませんか」
読者の悩みを言語化することで、「自分のことだ」という直感が生まれます。
具体例で考える
個人コーチの場合
❌「コーチングは、クライアントの目標達成をサポートする手法です」
⭕「営業が苦手で、毎月のノルマに押しつぶされそうになっていませんか」
前者は論理的な説明ですが、後者は感情に直接訴えかけています。
中小企業の場合
❌「高精度な部品加工で、公差±0.01mmを実現」
⭕「納期に追われて、品質を犠牲にしていませんか」
スペックより、顧客が抱える感情的な課題から入ることで、直感が動きます。
オンラインコースの場合
❌「全12回のカリキュラムで、体系的に学べます」
⭕「発信を続けているのに、なぜか売上に繋がらない。そんなあなたへ」
内容の説明より、読者の現状への共感から始めることで、「自分のことだ」と感じさせます。
直感の後に論理を
直感で「いい」と感じさせた後で、論理的な説明を提示します。
「なぜこの価格なのか」「どんな実績があるのか」「どう進めるのか」
これらは、直感を正当化するための材料として機能します。
順番を間違えると、そもそも読まれないのです。
全体像を知ることが第一歩
この記事では、直感が購買を決めるという科学的な事実をお伝えしました。
しかし、これはWeb設計という大きな枠組みの一部にすぎません。
どうすれば直感を動かせるのか。
どこで論理を提示すべきか。
無料コース「人はなぜクリックするのか」では、この全体像を詳しく解説しています。
論理的に説明しているのに売れない。
そんな状況を変えるための第一歩として、ぜひご活用ください。
