価格を下げたのに、なぜ売れないのか
「売れないのは価格が高いからだ」
そう考えて値下げをした経験はありませんか。
しかし、価格を下げても売れなかった。
むしろ、以前より状況が悪くなった気さえする。
そんな経験をされた方は少なくありません。
実は「安くすれば売れる」という考えは、構造的に間違っているのです。
問題は価格ではなく、価値の認識
結論から言います。
安売りしても売れない原因は、価格が問題ではないからです。
本当の問題は「価値が伝わっていないこと」にあります。
価格を下げても、価値の認識が変わらなければ、売上は伸びません。
むしろ、安売りには深刻な副作用があります。
なぜ安売りは逆効果なのか
安い価格は「理由」を探される
価格を下げると、顧客は「なぜ安いのか」を疑います。
「品質が低いのでは」 「何か問題があるのでは」 「売れ残りでは」
安すぎる価格は、品質への不安を生むのです。
これは「価格のプラシーボ効果」と呼ばれる現象です。
鎮痛剤の実験
ある実験では、同じ鎮痛剤を2つのグループに渡しました。
一方には「定価」で、もう一方には「割引価格」で提供しました。
結果、定価で受け取ったグループの方が、痛みの軽減効果が高かったのです。
同じ薬なのに、価格が安いだけで効果が下がる。
これが価格と価値の認識の関係です。
価格競争の「底辺への競争」
一度安売りを始めると、競合も価格を下げてきます。
そして、さらに価格を下げる。
この繰り返しは「底辺への競争(Race to the Bottom)」と呼ばれます。
最終的に、誰も利益を出せなくなります。
価格で勝負する戦略は、体力のある大企業にしか許されません。
よくある誤解
❌ 「安ければ選ばれやすい」
価格が安いことは、選ばれる理由にはなりません。
顧客は「最も安いもの」ではなく「最も価値があるもの」を選びます。
価格が安いことだけが特徴の商品は、比較されて終わりです。
❌ 「まず安くして、実績を作ればいい」
安い価格で集まる顧客は、安さを求める顧客です。
後から価格を上げると、その顧客は離れていきます。
そして、安い価格で集まった顧客は、往々にしてクレームが多く、手間がかかります。
❌ 「値下げすれば、購入のハードルが下がる」
ハードルが下がるのは「価格」だけです。
「この商品が自分に必要だ」という認識がなければ、いくら安くても買いません。
100円でも、不要なものは買わないのです。
設計視点で考える
⭕ 価格を下げるのではなく、価値の認識を上げる
「高い」という反応は、実は価格の問題ではありません。
「価格 > 認識された価値」という状態を表しているのです。
この不等式を解消するには、2つの方法があります。
- 価格を下げる(安売り)
- 認識される価値を上げる(設計)
安売りは一時的な解決策であり、持続可能ではありません。
本当の解決策は、認識される価値を上げることです。
価値の認識を上げる3つの方法
1. 顧客の「痛み」に焦点を当てる
機能を語るのではなく、顧客が抱える問題の深刻さを語ります。
「便利なツール」ではなく「毎月10時間の残業から解放される」と伝えれば、価値の認識は上がります。
2. 具体的な結果を示す
抽象的な約束ではなく、具体的な数字や変化を示します。
「売上アップ」ではなく「導入企業の平均売上が23%向上」と言えば、価値が明確になります。
3. 比較対象を変える
何と比較されるかで、価格の印象は変わります。
「月額5万円のコンサルティング」と聞くと高く感じます。
しかし「営業社員1人を雇う1/10以下の費用で、売上が2倍に」と言えば、安く感じます。
具体例で考える
コンサルタントの場合
❌ 価格を下げて「お手頃価格で提供」
⭕ 「このまま自己流で続けると、年間300万円の機会損失。投資額は3ヶ月で回収」
オンラインコースの場合
❌ 価格を下げて「今だけ半額」
⭕ 「受講者の87%が、3ヶ月以内にコース費用を回収」
士業の場合
❌ 価格を下げて「初回相談無料」
⭕ 「知らずに損している税金、平均で年間47万円。その発見が初回相談でわかる」
どの例も、価格は変えていません。
変えたのは「価値の見せ方」です。
価格と本気度の関係
興味深い研究があります。
価格が高いほど、顧客の「本気度」が上がるというものです。
安いコースより高いコースの方が、受講者の完了率が高い。
安いコンサルより高いコンサルの方が、クライアントが実践する。
価格は「フィルター」の役割も果たしているのです。
安売りは、本気度の低い顧客を集め、結果が出にくくなり、評判を落とすという悪循環を生みます。
価格ではなく、設計で勝負する
この記事では、安売りしても売れない構造的な理由をお伝えしました。
価格は問題ではありません。
問題は、価値が正しく認識されていないことです。
そして、価値の認識は「設計」によって変えることができます。
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安売りの悪循環から脱却したい方は、ぜひご覧ください。
