違いを作ったのに、伝わらない
「うちはここが違います」
一生懸命アピールしているのに、顧客の反応が薄い。
結局、価格の話になってしまう。
差別化ポイントはあるはずなのに、なぜ選ばれないのでしょうか。
実は、「違いを作る」だけでは差別化にはなりません。
その違いが顧客に「認識」されて初めて、差別化は機能するのです。
差別化とは「違いを認識させる」こと
結論から言います。
差別化とは「違いを作ること」ではなく「違いを認識させること」です。
顧客の頭の中で「別のカテゴリ」として位置づけられなければ、どんな違いも比較の対象になります。
そして、比較が始まれば、価格で決着がつきます。
なぜ「違い」が伝わらないのか
顧客は違いを探さない
残念ながら、顧客はあなたの商品の違いを積極的に探してくれません。
顧客の脳は、情報処理の労力を最小限にしようとしています。
「この商品と、あの商品は何が違うんだろう」と深く考えることは、顧客にとってエネルギーの浪費です。
だから、違いがわかりにくければ、「どれも同じようなもの」として処理されます。
そして、同じようなものなら、安い方を選びます。
「使いやすさ」は差別化にならない
多くの企業が「使いやすい」「対応が丁寧」「品質が良い」をアピールします。
しかし、これらは差別化になりません。
なぜなら、どの会社も同じことを言っているからです。
「使いやすさ」は購入後のリピート理由にはなりますが、購入前の検討段階では客観的な証明が難しく、決定打になりません。
本当のライバルは同業者だけではない
顧客にとっての競合は、同業他社だけではありません。
「エクセルで代用する」 「インターンにやらせる」 「何もしない」
これらも、顧客が天秤にかけている選択肢です。
同業他社との違いを語っても、顧客が「そもそも買わない」という選択肢を検討しているなら、響きません。
顧客が本当に比較している「代替案」を特定し、そこに対する優位性を語らなければ選ばれないのです。
よくある誤解
❌ 「機能を増やせば差別化できる」
機能が多いことは、必ずしも価値ではありません。
むしろ、機能が多すぎると「複雑で難しそう」という印象を与えます。
顧客は「何ができるか」より「自分の問題が解決するか」を知りたいのです。
❌ 「価格を下げれば選ばれる」
価格を下げても、「安い理由」を疑われるだけです。
そして、価格で勝負すると、より安い競合が現れたときに負けます。
価格以外の選ばれる理由を作ることが、差別化の本質です。
❌ 「実績を増やせば選ばれる」
実績の数は、顧客にとって「他人の話」です。
顧客が知りたいのは「自分がどうなれるか」です。
100社の実績より、「あなたと同じ課題を持っていた会社が、こう変わった」という1つのストーリーの方が響きます。
設計視点で考える
⭕ 「認識される違い」を設計する
差別化を機能させるには、以下の3つを設計する必要があります。
1. 顧客が気にしている軸を選ぶ
差別化の軸は、顧客が気にしているものでなければなりません。
あなたが誇りに思っている違いと、顧客が価値を感じる違いは、しばしば異なります。
「納期の早さ」を差別化ポイントにしても、顧客が納期を気にしていなければ意味がありません。
顧客が本当に悩んでいること、不安に思っていることを軸にするべきです。
2. 比較対象を明確にする
何と比較されるかによって、差別化の意味は変わります。
「従来の方法と比べて」 「競合A社と比べて」 「自分でやる場合と比べて」
比較対象を意図的に設定することで、あなたの強みが際立ちます。
3. 一言で言える形にする
差別化ポイントが、30秒で説明できなければ、伝わりません。
複雑な説明が必要な違いは、顧客の脳に残りません。
「〇〇業界で唯一の△△」 「〇〇なら、□□」
このレベルまでシンプルにする必要があります。
具体例で考える
Web制作会社の場合
❌「高品質なデザインと、丁寧なサポート」 → どの会社も言っている
⭕「公開後30日間、修正し放題。納得いくまで付き合います」 → 顧客の不安(納品後に直してもらえるか)に応える
コンサルタントの場合
❌「豊富な経験と実績」 → 抽象的で、違いがわからない
⭕「成果が出なければ、報酬ゼロ。リスクはすべてこちらが負います」 → 顧客のリスクを取り除く明確な違い
オンラインコースの場合
❌「体系的に学べる動画コース」 → 他のコースと区別がつかない
⭕「90日間、毎日フィードバック。挫折させません」 → 顧客の不安(続けられるか)に応える
どの例も、商品の中身を大きく変えてはいません。
変えたのは「何を差別化ポイントとして打ち出すか」です。
赤いスニーカー効果
面白い研究があります。
フォーマルな場で赤いスニーカーを履くように、あえて規範を破る行動は、「規範に従う必要がないほどの地位がある」というシグナルになるというものです。
高級ブティックで、ラフな服装の客の方が「大口顧客」と判断されることがあります。
これを「赤いスニーカー効果」と呼びます。
差別化においても、業界の常識を意図的に破ることで、独自のポジションを確立できることがあります。
「普通はこうするけど、うちはあえてこうする」
これが強い差別化になることがあるのです。
認識される差別化を作る
この記事では、差別化とは「違いを認識させる」ことだとお伝えしました。
違いを作るだけでは不十分です。
顧客の頭の中で、明確に「別のもの」として位置づけられて、初めて差別化は機能します。
コース「比較されない土俵を選ぶ」では、認識される差別化を作る方法を体系的に解説しています。
「違いはあるのに伝わらない」という状況から抜け出したい方は、ぜひご覧ください。
