「見ればわかる」は危険な思い込み
「良いものを作れば、自然と売れる」
「品質を見れば、価値はわかるはずだ」
そう信じていませんか。
残念ながら、これは多くの事業者を苦しめる危険な思い込みです。
なぜなら、価値は客観的に存在するものではないからです。
価値は、顧客の頭の中に「認識」されて初めて存在します。
認識されなければ「ない」のと同じ
結論から言います。
どんなに高い品質も、顧客に認識されなければ「存在しない」のと同じです。
これは厳しい現実ですが、構造を理解すれば対策が見えてきます。
なぜ「良いもの」が伝わらないのか
ここに構造的な問題があります。
人間の脳は、理解に労力を要する情報を無視するようにできています。
これは「認知的ケチ」と呼ばれる脳の特性です。
脳は常にエネルギーを節約しようとしており、複雑な情報の処理を避けます。
グランツ・テスト(原始人テスト)
あるマーケティングの専門家は、こんなテストを提唱しています。
「洞窟に住む原始人が見ても、5秒で理解できるか?」
これが「グランツ・テスト」です。
原始人でも「ウグッ」と唸って理解できるほどシンプルでなければ、現代人も理解できません。
賢さやポエムよりも「明確さ」が売上を作ります。
「混乱させれば、負ける(If you confuse, you lose)」が鉄則なのです。
Webサイトの5秒テスト
あなたのWebサイトを見た人は、5秒以内に以下の3点を理解できますか。
- 何を提供しているのか
- 自分の生活がどう良くなるのか
- どうやって手に入れるのか
この3点が5秒で伝わらなければ、顧客は離脱します。
どんなに素晴らしい商品説明がページの下にあっても、そこまでスクロールされることはありません。
説明下手の正体
「自分は説明が下手だ」と感じている人は多いです。
しかし、問題は話し方のスキルではありません。
「何を、どの順番で、どの言葉で伝えるか」という設計ができていないのです。
設計ができていれば、話し方が多少ぎこちなくても、価値は伝わります。
逆に、設計ができていなければ、どんなに流暢に話しても、価値は伝わりません。
よくある誤解
❌ 「情報を増やせば伝わる」
実は逆です。
情報が増えるほど、顧客の脳は処理を放棄します。
パンフレットを分厚くしても、読まれる確率は下がるだけです。
伝えたいことを「削る」勇気が必要です。
❌ 「専門用語を使えば信頼される」
専門用語は、顧客を混乱させます。
混乱した顧客は、購入を保留します。
専門家として認識されたいなら、難しいことを簡単に説明できる能力を示すべきです。
❌ 「実績を並べれば選ばれる」
実績の羅列は、顧客にとって「他人の話」です。
顧客が知りたいのは「自分がどうなれるか」です。
実績は、顧客の未来を証明するために使うものであり、自慢のために使うものではありません。
設計視点で考える
⭕ 「認識される価値」を設計する
価値を伝えるには、以下の3つの要素を設計する必要があります。
1. 明確なカテゴリ
顧客は、あなたの商品を「何として」認識しますか。
「税理士」なのか「飲食店専門の税理士」なのか。
カテゴリが明確でなければ、顧客の頭の中に居場所を作れません。
2. 顧客の言葉
あなたの業界用語ではなく、顧客が日常で使う言葉で語っていますか。
「コンバージョン最適化」ではなく「問い合わせが増える」と言うべきです。
3. 具体的な結果
抽象的な約束ではなく、具体的な変化を示していますか。
「売上アップ」ではなく「3ヶ月で月商100万円」と言えば、イメージが湧きます。
具体例で考える
コーチングの場合
❌「潜在能力を引き出すコーチング」
⭕「『何がしたいかわからない』が、3ヶ月後には『これをやる』に変わる」
Web制作会社の場合
❌「高品質なWebサイトを制作」
⭕「公開後30日で問い合わせが2倍になったクライアント多数」
士業の場合
❌「豊富な経験と実績」
⭕「補助金申請、採択率92%。面倒な書類作成はすべてお任せ」
どの例でも、商品の本質は変わっていません。
変わったのは「認識のされ方」だけです。
文脈が価値を決める
同じ商品でも、置かれる文脈によって認識される価値は変わります。
「ケーキ」として売ればデザートと競合しますが、「朝食マフィン」として売れば朝食市場で勝負できます。
商品を変えずにカテゴリを変えるだけで、価格のアンカー(参照点)が変わり、利益率が変わるのです。
価値を「設計」できるようになる
この記事では、価値は伝わって初めて存在するという原則をお伝えしました。
しかし、これは「設計」という大きな枠組みの入り口にすぎません。
何を、誰に、どの順番で、どの言葉で伝えるか。
これらを体系的に設計することで、あなたの商品の価値は正しく認識されるようになります。
無料コース「なぜ良い商品が売れないのか」では、この設計の方法を詳しく解説しています。
価値が伝わらないもどかしさから解放されるための第一歩として、ぜひご活用ください。
